美術モデルは注目度ナンバーワン。自分に視線が釘付け

緊張するモデル

自己顕示欲が強い人って、いますよね。
じぶんに注目を集めたい。私だけ見て!
そんな女性は、身近に一人や二人居ますよね。
我儘とか、構ってチャンに多いです。

SNSが、注目させたい心理を加速させます。
事細かく日常を発信する人は、そうだと思う。
注目されて「いいね」ないと気が済まない。

これは人に備わる承認欲求に関わる行動です。
関心を引いて認められる=満足感

この世に、怖いくらい自分に感心を集められる
仕事があります。あなた一人に、嫌と言うほど
視線が降り注がれます。

どんなもの?では、お伝えいたしましょう。

 

 

自分の全てに感心を集める美術モデル

注目を一身に集める仕事。
それは、美術モデルです。

モデルにも色々あります。グラビアモデルや
ファッションモデル。他にもたくさん。
写真や映像で間接的には注目を集めます。
女優や芸能人もそうですね。

でも、美術モデルは、無名ながらダイレクトに
イヤ~というほど、じっと見つめられます。
美術モデルという仕事ほど、注視されるものは
ないのではと思います。

モデルは、モデルでも全然別世界。
そのままの最もピュアな貴方に注目されるので
着飾ったり愛想を振りまくなどのアピールや
媚を売る必要はありません。

生まれたままの姿。素の自分だけでいいのです
(ボディーケアはします。女性は薄化粧)

そして、その場の完全な主役です。
関心は、あなただけに注がれます。

頭の天辺から、足の指先まで、事細かく全てを
真剣に、あなたを見てもらえます。

その視線は、人体を学ばせてくれるあなたに
感謝の気持ちがこもっています。
僕の知る限りでは、とても大事にされます。

描き手によっては、ちやほやしてくれます。
「在りのまま」を褒めてくれることも。

そして、モデルは主役なので自由です。
(動けないという不自由はあるけど)

ある女性モデルは、女王様みたいだと・・・
休憩後にポーズが違うと言われても、大差は
無いので改めないそうです。
「彫刻じゃないから、スミマセンね~」
みたいに、意に介さないそうです。

もちろん、ちゃんとポーズはとります。

描き手の態度が悪い時、何か問題がある時
モデルの判断で中止することもあるそうです。
(そんな事は、めったにないですけど)

いかがでしょうか。注目浴びてみたいですか?
簡単ですよ。モデルになって脱ぐだけです。

と、言っても実際は色々大変です。
たまに嫌な思いすることもあります。

それでも、注目を浴びたくてやる訳じゃない
けど必然的に見つめられちゃいます。

ただ、女性モデルの中には、この注目に
満足感を得ている人も居るのは確かです。

在りのままの自分を評価されるのって、
他に、あまりないですものね。

 

では、実際の美術モデルの流れを紹介します。

 

羞恥心は初めだけ?在りのままへ

ここで紹介するのは、僕の知る範囲のコトです
美術教室やデッサン会場によって違います。
また、フリーモデルと事務所所属のモデルでは
多少異なる点があるのでご注意ください。

 

在りのままの姿になる

まず会場についたら、準備をします。
まあ、簡単に言えば、脱ぐというコト。

僕の場合、何か所か決まった馴染みのアトリエ
だけなので、脱ぐ場所に気を使う心配は、あり
ませんでした。
一応、控室(狭いですけど)がありますので、
多少はプライベートを確保できます。

でも、そういうものが無い会場もあるみたい。
部屋の隅っことか、ちょっとした物陰とか?
モデルへのデリカシーが無いのはイヤですね。
でもそのうち、それも経験するかな。

え~どうせ、脱いじゃうんでしょ。

そう思いますよね?

服の脱ぎ着ってモデルの時より恥ずかしいよ。
少なくとも僕は、そう感じます。

服は、その人のイメージを形成するアイテム。
爽やか、可愛い、真面目、時にフォーマル
印象は、服装で変化します。

裸は、全然イメージが違います。
普段ぜったい見せない姿ですもの当然です。
その人の最もプライベートな姿です。

平穏な日常から非日常に切り替わる瞬間です。
やはり、心の準備というものがしいです。

 

もっとも緊張する瞬間

更衣室で服を脱いで、一旦、ガウンとか脱ぎ着
が簡単な物を羽織って開始時間を待ちます。
休憩中は、これを着て休みます。

準備が終わると、会場に赴きます。
この時、モデルへの意識が湧いてきます。

僕は、だいたい2~30分前には支度を済ませ
ポーズのイメージをしたり、ポーズの希望を聞
いて、その日のポージングを決めます。
(ポーズは、ほとんどモデル任せです)

そして、開始直前に、モデル台に上がります。
(台じゃないこともあります)

概ね覚悟は出来ているけどドキドキします。
何度やっても、慣れない。

ここが、一番緊張します。

 

モデルスタート

壁時計

 

僕の行く場所では、おおよそタイムテーブルに
したがって、多少のとこは、モデル任せです。
そのため、モデルに合わせて時間が流れます。

だいたい20分ポーズ、10分休憩のリズム。
それを6セットくらいですかね。

ポーズのイメージが出来て心の準備が整ったら
ガウンを脱いで、目立たない場所に置きます。
(毎回、心臓がバクバク)

自分だけ裸になるというのは、勇気いります。

描き手の大半は、モデル慣れしているので
僕が裸になっても「当然」という感じです。
モデルが脱ぐのは、ここでは当たり前なんです

でも、慣れない人には「オッ」という瞬間。
僕もそうでしたけど、モデル本人より見る側の
方が緊張しちゃったりします。

裸になってタイマーをセット。ポーズ開始です

タイマーは、20分のインターバルのため。
時間の目安です。

でもここでは、目線の先に大きな時計があるの
で僕は、時間を見てポーズを取っています。

実は、この時計が、とてもアリガタイ。

目線の先にある時間の針をちらっと見ながら
タイミングを計り、ポーズを決めると
「始めます」と、ひと声かけます。

ここから、一斉に僕に視線が集中してきます。

そして目線をロックして、ジッと20分。
(時間は、内容により若干違う)

20分くらいが動きを止める限界点なのかな。

あとは、ひたすら動かないこと。それだけ。
恥かしさは、ポーズ直前までです。

動かない事に必死で感じる暇がありません

動きを止めポーズを維持することだけで
頭は、一杯になっちゃいます。

 

全身に降り注ぐ視線

観察・女性

 

ポーズをとると、あとはとにかく動かない。

身体の重心を考えてポーズをとらないと苦痛に
耐え続けることになります。
僕は、出来るだけ「自然」なポーズをとります
妙なポーズはキツイし、不自然ですから。

脚の先、手の指先。腰、肩と、全て気を配る。
表情も出来るだけ自然に視線だけ固定します。

固定する視点のすぐ横に、壁時計があるので
だいたいの時間経過がわかります。
たまに、ちらっと時間を見ます。
5分・・10分・・・・20分、長い、長い。
じっと動かないのは、人間にとってツライ作業

暇でいろいろ考え事していると思いますよね。
でも、ほとんど何にも考えていません。
漠然と会場の景色は見えているけど瞑想状態。

動かないといっても、微妙に揺らぎがあるので
その都度、慎重に修正して維持します。
意外と、ポーズを保つのも忙しいです。

僕がモデルをする会場は、広くないので描き手
が近いので、その様子がよく見えます。

とにかくモデルは、容赦なく見つめられます

手元と僕に、交互に視線をせわしなく動かして
観察している様子が無意識にわかります。

人の肌センサーってけっこう敏感なものです。
ぼんやりだけど、体中の隅々に、何人もの視線
を感じる気がします。

くすぐったいような、妙な気分です。
全身を見ている人。手脚を見ている人・・・
顔は、さすがに嫌でも「見てる感」が強い。

低いポーズだと目線が合うこともありますけど
それでも、ただなすがままに動かない。

見てもらうのが仕事と、割り切ります。

 

上手く描くには、よく見ること

イーグルアイ

僕の場合、だいたい20人程度に描かれます。
割と、アットホームな雰囲気です。
(でも月に2百人以上か・・・)

そんな訳で、割と少人数に描かれているのです
が、それでも毎回、緊張しています。

少人数だと、距離が近い。ほんの数メートル。
その時によって、近い人だと1mちょっと!
もう、細部まで手に取るように見えます。

小さなデッサン会では、描き手さんと
自然に親しくなります。

それで作品を見せてもらうんですけど
忠実に描かれている自分の姿を見てドキッ
丁寧に描かれるのは嬉しいですけど複雑・・・

そんな訳で、徹底的に観察されています。

人数の多い少ないは、あまり関係ありません。
とにかく描くためには、よく見る必要がある。
おのずと遠慮なく見つめられます。

距離があれば、細部は多少ごまかすけど
近ければ近いほど、見たままに描かれます。

油絵の場合は、デッサンの非じゃないです。
手間がかかるので数日かけて描かれます。
時間が長いので、座ったポーズが多いです。

僕は、楽なポーズは、逆に苦手です。

ポーズが楽だと眠くなるし、心に余裕が・・・
描き手を逆に観察出来ちゃうんですよね。
自分を見ている様子が一目瞭然。

メチャ居た堪れない気分になります。
どう表現していいのか・・逃げたい感じ。

 

モデルは、見られるモノ

視線が苦手な人は、多いと思います。
見られると緊張しますよね。

他人をじっと見ることは、しませんよね。
(恋愛は、別ですけど)
それこそ「何見てんだよ」と怒られちゃう。
綺麗なネエチャンやな~と見るのもチラ見。
ふつう、他人を凝視しませんよね。

それが、しかも「裸」なら、なおさらです。
そんなシチュエーションは、あまりないけど
温泉や銭湯で、それは無いですよね。
普通、遠慮するはずです。
視界に入るのと、観察は別物です。

美術モデルは、凝視されるのが、宿命です。

モデルをする以上、それは承知済みです。

デッサンは、他人を隅々まで堂々と観察できる
数少ないめずらしい環境です。

モデルの姿は、時間内、ほぼ見放題です。

どうぞ、遠慮なく見て人体を学んでください。

 

まとめ

人は、決して追い越せない自然の芸術作品
それを追い求める芸術家。
描き手にとって美術モデルは、永遠の目標

その為に、身体を隅々まで観察されます。
その視線は、容赦なく、そして真剣です。
恐ろしいほどの注目を全身に浴びます。

確かに一身に注目を集めるけど、それは
モデル個人じゃなく、モデルの身体です。

自然にモデルの個性も滲み出ますけど
あくまで作品としての「味」です。

一見、大胆に見える美術モデルですが、
大半は、ごく普通の人達です。
普段は、むしろ慎ましい感じです。

僕なんか、むしろ目立ちたくない方です。

けっして脱ぐのが平気な訳じゃないです。
人ですから、羞恥心は普通にあります。
それを抑えて身を捧げている感覚。

見せるのは、仕事。そう割り切っています。

それでも自分の身体が、芸術に役立つのは、
素直に嬉しいことです。

 

次回は、無防備な姿ゆえの悩みについて
肌ケアと健康管理は美術モデルの大切な
もう一つの仕事です。

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