心は皮膚にある?肌と心の関係。
ココロとは、どこにあるのでしょう。
普通は、頭の中「脳」だと思いますよね。
なんとなく全ては頭の中で考えているから
「脳かな?」が自然ですよね。
最近は、科学も進歩で脳の事もだいぶ解明され
ているけどまだまだ人間の身体は、神秘に満ち
ています。
解明される中で、皮膚の意外な機能がわかって
きました。肌感覚は、想像以上に、繊細で高機
能です。
心が疲れていると、すぐ肌に出ますよね。
肌と心って、密接な関係なんですよ。
皮膚のメカニズム
肌は、人間の臓器で一番目に入る部位です。
もっとも見慣れているパーツですけど、
意外と知らない事が多いです。
皮膚の役割
- 生命維持のバリア機能
- 外部環境を察知する感覚機能
- 外部との境界を形成し形を維持
皮膚の役割は、大きく分けると二つです。
3番目は「見た目」を形作る機能です。
これを境界形成といい、身体の形を維持してい
ます。個性を作り出す役割ですね。
皮膚の構造
皮膚は、一番上(表面)から順に
「表皮」「真皮」「皮下脂肪」
と、大きく分けて3層構造になっています。
表皮は、さらに4層で、上が有名な角質です。
角質層ではセラミドが表面の水分を保持してい
ます。最下層の基底細胞層に、メラノサイトが
あります。このエリアでターンオーバーが行わ
れます。
真皮は、網の目状のコラーゲン繊維があって隙
間にヒアルロン酸などが満たされています。
ここは、肌の潤いを保つ貯水池です。
他に汗腺や脂腺、毛根がここにあります。
皮下組織は、ほとんどが皮下脂肪です。
ここには、血管やリンパ管が通り栄養を運んだ
り老廃物を排泄したりします。
肌色のベースは、皮下脂肪の黄色です。
(これは、白人も変わりません)
皮膚の感覚機能
皮膚には、様々な感覚器官があります。
「圧力」「触覚」「温度」「刺激」「痛覚」
そして「光」を感じるそうです。
皮膚感覚は、女性の方が感度が高いそうです。
体毛が少ないほど感度は高いようです。
最新の研究では、皮膚が色を感知しているらし
いということが分かってきています。
この皮膚感覚は、非常に繊細で緻密です。
脳が意識するより早く反応をしています。
また、細菌感染や有害物質に対しても
防御反応が働いています。
肌が色を感じている?
肌が光や色を感じている?
色を感じるということは、光の波長を分類する
機能があるということです。
赤、緑、青(RGB)を肌が感知する!?
この人に見える光を「可視光線」といいます。
瞳孔に入った光は、波長を感じる細胞が脳に信
号を送ります。
「目」なら、理屈がわかります。
「肌」には、目がありません。
じゃあ、どうやって?
簡単に説明すると、色を識別するタンパク質
「オプシン」が皮膚にも存在しているというこ
とです。
確かに、皮膚は暖かさ(赤外線)を感じていま
す。紫外線を感じているのは日焼けでわかりや
すいですね。特に、紫外線は目にある細胞では
認識できなので皮膚は、4色を識別しているこ
とになります。
ちなみに鳥の目は、4色識別だそうです。
実際に実験で、赤や青の紙を目隠しして触らせ
たら半分以上の人が正解だったとか。
(感覚の個人差はあるようです)
まだ研究段階みたいですけど、もしかすると、
脳より先に肌が色を認識しているということは
一部は目じゃなくて、肌が感じて脳に教えてい
るのかもしれません。
肌が色を感じるメカニズム
光は、電磁波の一種です。
そして波長があります。
物体そのものに「色」は、ありません。
物体が光(電磁波)を反射することで色が生ま
れます。
黒は、吸収しちゃうので色が無く(吸収率で黒
の濃淡はある)白は、全部乱反射するので白っ
ぽく見えます。
それぞれの光の波長を感じる細胞が脳に信号を
送って塗り絵している感じかな。
暗闇では、色は存在しません。物体(人も)が
光を反射して初めて色が見えます。
肌感覚と「気配」
人間の視覚情報は、予想以上に膨大ですけど
頭が認識しているのは、ごく一部です。
見たもの全部認識したらパニックになっちゃい
ます!そこで必要なものだけフィルタリングし
ているそうです。
先ほど、視覚情報は「光」つまり電磁波と説明
しました。
僕は、ここでピンときました。
肌が温度を感じるのは、赤外線ですよね。
後ろから、そっと誰かが近づいたとき・・・
気配を感じて振り向いたことがないですか?
赤外線も電磁波ですから、肌がそれをキャッチ
しているのかも。しかも、視覚的に見る前だか
ら脳よりも早く気付いています。
「気配」を科学的に見ると、こういうコトだっ
たんですね。
人間は、微弱な電磁波を発しています。
それが「気配」の正体でしょうか。
人が発する電磁波は、個体識別もできるそうで
す。強弱が違うのですね。
よく考えると人そのものが「電気」で動いてい
ます。心臓は、どうやってリズムを刻んでいる
でしょうか。調子が悪いとペースメーカーを入
れますよね。
「肌」は、人間の臓器で外界と接しいる部分で
す。表面積も大きいので、外部の電磁波を多く
受け止めます。
おおざっぱに言うと、女性の肌は男性より密度
が高いです。つまり「肌感覚」が敏感だという
ことですね。
見られている?という感覚は、目じゃなくて
肌が感じているのかもしれませんよ。
肌感覚を失うと幽体離脱?
画像:wikipedia
この謎の物体をご存知ですか?
アイソレーションタンクといいます。
中には、比重の高い(とてもしょっぱい)体温
とほぼ同じ液体が入っていて、中に入ると身体
が浮きます。この中で裸で無音、無光の状態で
フワフワ過ごします。
五感を遮断されるので瞑想状態となります
個人差はありますけど、瞑想どころか幽体離脱
状態になる人も居るそうです。それは、まるで
自分が自分で無いような、ちょっと怖い不思議
な感覚になるそうです。
瞑想というより「迷走」に近いのかな。
閉所恐怖症の人には、絶対おすすめできません
よね。ちなみに僕は水が苦手なのでムリです。
さて、このマシンで僕が注目したのは肌感覚。
浮遊した無圧状態で、体温と変わらぬ温度。
光が無い。最高の「リラクゼーション」のはず
ですけど、こういう状態では、感覚がマヒして
いきます。
たぶん、逆に落ち着かないし「恐怖」を感じま
す。まあ「これがエエ」という人も居るでしょ
うけど・・・
肌の境界感覚を失うと、自己認識ができない
これまで説明したように、肌の感受性は多彩で
す。脳で考えるより先に、多くの仕事を勝手に
処理しています。
目や耳という感覚器官は脳のテリトリーです。
これを遮断され、肌感覚もなくなると情報が無
くなっちゃう。
自分が自分でない感じになります。
アイソレーションタンクの経験者の中には、
少なからず「臨死体験」に似た感覚になったそ
うです。例の自分を眺めているやつです。
肌は、外界と自分を別ける「境界」です。
皮膚感覚が外界と区別して「自分」を形成して
いるのでしょう。
皮膚は、身近な目に見える臓器のひとつですけ
ど想像以上に重要な役割をしていますね。
皮膚と脳は兄弟
受精卵は、三つに別れています。
- 内胚葉・・・内臓になります。
- 中胚葉・・・筋肉と骨になります。
- 外胚葉・・・皮膚と脳になります。
おおざっぱに別けると、こうなります。
お気づきですか?皮膚と脳は元々同じです。
皮膚の高機能がなんとなく説明つきます。
脳が無い生物もたくさん居ます。
でも、彼らは、居心地の良さを感じています。
その役割は、皮膚がしています。
皮膚は、第二の脳とか第三の脳と言われます。
脳では、インプットされた情報で高度な判断を
します。皮膚は、直観的に、指令が無くても判
断しています。
なにか有害なものが付着してかぶれるのも
脳が指示している訳じゃないですよね。
外界との防御ラインですから指示待ちだと大変
皮膚が勝手に様々な仕事をしています。
皮膚は、自分で考えているんですね!
いえ、考えているのではなく、直観的なもので
す。うまく言えないけど理屈抜きの動きです。
ただ、自律神経でコントロールされる内臓系と
は、ちょっと違います。
内臓は、自分の意志で動かせませんよね。
自分の意志で動かせるのは脳脊髄神経です。
手足を動かしたり、痛みを感じたり。
痛みって、コントロールできるんですね。
カッターで指を切っちゃったとき、目で見てか
ら痛みを感じたことないですか。
大怪我をすると、一瞬痛みを感じなかったり、
同時に複数のダメージがあると、わからなかっ
たり。
脳の判断って、案外大雑把なんですね。
脳判断は、危険に対して知識の差が明暗を別け
ますが、肌感覚(皮膚)は、本能的に本人の意
思と関係なく正確な判断をしています。
皮膚は、もう一つの司令塔
皮膚は、ダメージに対して自主的に復旧作業を
します。脳で判断する前に、なんらかの反応を
します。
痛みを和らげるホルモンを出したり、
逆に痛みで危険性を伝えたり。
外的ダメージだけでなく、ストレスを受けると
コルチゾールを出して、これが炎症やアレルギ
ー反応を起こします。
「この人疲れてるで。ほなアトピー出すで。」
と、皮膚は脳にアピールをしたりするんですね。
(注:わかりやすく擬人化しました)
鈍い?脳へ、即断即決で行動で示す。
脳で判断できない人へも分かりやすく教える。
寒い、暑い、痒いだけでなく、なんか嫌な感じ
とか・・・なにか危険を感じるとゾッとするの
もそうですね。
ありませんか「あれっ、なんで鳥肌が・・・」
というやつ。
何に反応しているのかは、わかりません。
でも、なんとなく嫌な感じ危険を察している。
理性的な脳の苦手な分野を、
皮膚が補っているんですね。
「身体で覚える」とは?
頭で分かっているのに動けない。出来ない。
よくあることです。
脳は、高度な処理をする一方、ネガティブな作
用もします。また創造力は、感性の部類ですか
ら知識だけじゃムリです。
お勉強は出来るのに、仕事ができないのもそれ
ですね。インプットが多くても、アウトプット
は別物ですね。余談ですが、知識より経験。
そして感性が重要ですね。
逆に身体に覚えこませろ!
というのがありますよね。
反復して経験を積ませることで、身体に
条件反射で出来る様に仕込みます。
職人の世界の多くは、そうですね。
こうした場面では「頭で考えさせない」
考えている暇あったら身体動かせ!です。
「お前、スジがいいな」と、褒められるのは
肌感覚が優れているという事です。
やはり、個人差はあります。
職人は、最新の機械でも出せない精度を、指先
でやっちゃう。機械では計測不能なコンマ何ミ
リを判別できる。まさに「肌感覚」です。
これは、筋肉じゃないですよね。皮膚です。
皮膚の緻密なセンサーが学習?しちゃっている。
しかも経験を積むたびにアップグレードして精度
を高めます。
皮膚感覚には、脳よりも優れている
すばらしい「感性」があります。
もしかすると、キキスパートなことには、
脳より皮膚の方が上手なのかもしれません。
僕の携わる美実の世界も、やはり肌感覚ですね
知識だけじゃ、絵は描けません。
まとめ
皮膚の意外な真実。どうでしたか?
自分なりに理解して噛み砕いた表現してみまし
た。専門的な点は、かなり省略していますので
興味があったら下記の参考文献を見てください
最後に「心」について考えてみます。
心が病む。心が休まる。こうした感覚は、どこ
で感じるのか。脳内にも、様々な反応がありま
す。なんとか波とか・・・
ホルモン物質もあります。
じゃあ、脳に心があるんじゃないか?
五感を遮断されると「心」は、離れてしまいま
す。ということは、心は、どこに行っちゃうの
でしょう。
そうすると、脳は定位置では、ないですね。
実は、皮膚は脳以上に「心」と密接です。
ストレスが肌に影響あるのは、経験上ご存知で
すよね。
そして皮膚は、繊細なセンサー。
心地よさの受信は、皮膚によるものが大半です
スキンシップの効能は、そういうことです。
逆に居心地の悪さも、そうです。
頭で考える前に、様々なものを人は感じていま
す。
皮膚は、その人間の個性を包み込む入れ物。
皮膚が、その人らしさを形成しているともいえ
ます。
美術モデルをしてみて体験したのは、まさにこ
の肌感覚です。
服を脱いでも、まだ皮膚という服を着ている。
その服(皮膚)は、多彩な高感度センサーだら
け。そのセンサーが最高に働くのが裸です。
お風呂に入ると、身も心もリラックスできるの
は、センサーを阻害する物が無くなるからかも
しれません。
モデルをすると、頭の中が真っ白からっぽにな
ります。でも、肌感覚では「自分」をしっかり
認識していますし全身に視線や描き手の思念が
伝わってきます。
瞑想に近い状態ですが、アイソレートタンクと
違うのは全身の感度が隅々まで研ぎ澄まされる
ことです。
こうした感覚は「感性」や「直観」
つまり第六感です。
直観は、脳の判断じゃないと思います。
浮遊感の中で、緊張を肌で感じながらも思考は
停止。視点固定で視覚も制限。聴覚は、かろう
じてある。
それでも自我を保てるのは、
別な場所に「心」があるから?
脳よりも感覚的には「皮膚」が
自分を保ってる気がします。
「心」の場所。それは正直よくわかりません。
それ自体の存在すら誰も説明できないのですか
ら。強いて言うなら、個性を形作る皮膚という
衣の中にある。
そんな感じではないでしょうか。
参考文献
青春出版社:山口 創 著
・・・・・・「皮膚は心を持っていた!」
東京書籍 :山口 創 著
・・・・・・「皮膚という脳」
講 談 社:傳田 光洋 著
・・・・・・「驚きの皮膚」
wikipedia :「皮膚」「アイソレートタンク」
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