中性的なルックスは芸術的な価値があるのか
後姿だと女性に見えますが、実はこれモデルは
男性(僕)なんですよ。
美術モデルのHarumiです。女性が大半を占め
ている中で少ない男性モデル。しかもさらに珍
しい中性的なルックスを持ったモデルです。
今回は、中性的な作品の一部を眺めながら、中
性的な身体のモデルについて語ってみたいと思
います。
美術モデルのほとんどは女性
世の中の美術モデルの大半おそらく8割以上は
女性。なぜでしょうか。
それは、そもそもモデルをやりたいというのが
ほとんど女性で、男性はあまりやりたがらない
という事があります。
そして描きたい対象として女性のほうが選ばれ
やすいということがあります。
ローマ時代の彫刻以外では、絵画の裸はほとん
どが女性です。ルネサンス期以降、男性のヌー
ドも作成されていますが、女性に比べれば少な
いものです。
モデルとしての女性の裸体は、芸術家、鑑賞者
両者の需要が「美術モデル=女性」という構図
を生み出したのかもしれません。
ただ、筋肉質な男性モデルというのも実は芸術
ではしっかり需要があります。
デッサンでは、男女を両方描きますので、少な
いながらも男性モデルも必要なんですね。
しかし求められる多くは女性の裸体。
要は女性の裸の方が好まれるんですね。
では、男と女両方の見た目を兼ね備えた中性的
裸体はどうなのでしょうか。
希少価値!女性的な身体の男性
これ、写真に見えるけど実は絵。スーパーリア
リズムです。モデルは僕です。顔はほんの少し
アレンジしてありますが雰囲気は出ています。
さて、なり手の少ない男性モデルをしている僕
ですが、とても珍しい特徴を持っています。
それは、女性的な身体つきだということ。
男性らしいガッチリ感はありません。ソフトな
ボディーライン、ウエストのくびれ。元々無駄
毛が少なかった上に丁寧に全処理したのでツル
ツルの綺麗な肌です。
長年プラエリアを服用した効果か、小さいなが
らも膨らみのある胸。乳首や乳輪も僅かに大き
くなっています。
因みにプラエリアはモデルを始めてから服用し
ています(中性的感じを強調するため)が、そ
れ以前から胸は少し尖がった感じに僅かに膨ら
んでいました。
大事な部分も小振りで色白。小学生みたいに包
まれているのでギリシャ彫刻的な雰囲気。
股間の突起物で男だとわかっても、全体的な女
性的なルックスが勝ってしまっています。
その上「女顔」です。しかもショートカット。
男性モデルですと言っても見た瞬間「えっ?」
と、戸惑うこと請け合いです。
毎度デッサンで脱いだ瞬間静かにザワッとした
感じが漂います。
「あなたみたいなモデルさん見た事ないわ」
始めて僕のヌードを見た人は、一様に驚きを隠
せないようです。
中性的だと両方楽しめる?
先ほど、女性の方が需要があると描きましたが
女性の方が綺麗とか色々理由はあると思うけど
女性のヌードを描きたい=女性のヌードを見た
いというのが本音じゃないでしょうか。
描き手が女性の場合、そのあたりは僕には解ら
ないのですが、綺麗な対象を描きたいというの
はあるそうです。
男性の筋肉美というのもあるのですが、武骨な
感じより柔らかい曲線美のほうが好まれるのか
もしれませんね。
その点、中性的だと、男女を同時に描けるメリ
ットがあります。僕の場合、男性らしさは股間
だけで女性的な方が強いですけどね。
僕の様に少々作りこんだ(サプリとかで)場合
だと、胸なんかは女性を描いている感覚です。
ほんの少しアレンジして描けば、女性になって
しまいます。
男を描いているのに、仕上がれば女性みたいな
作品になってしまいます。
発展途上の少女を描いているみたいだと言った
人もいらっしゃいました。
描く対象は興味深い方がいい
モデルを描く時に大切なのは好奇心です。
描く対象を「綺麗だな」などと強く感心を持つ
のは、作品の出来栄えを大きく左右します。
また、好みのヌードというのも俄然描く気が強
く湧き出してきます。
僕がモデルをしていつも感じるのは、普通のモ
デルと明らかに違う異質さに、強い関心を持っ
て観察されるということです。
中性的なモデルって少ないですから、面白いの
かもしれません。
いやというほど視線を感じてしまいます。
モデルを始めた頃は、怖いと思えるほどの視線
でしたが、今ではだいぶ慣れてきました。
僕は、女性的な雰囲気を強調するためにソフト
なポーズをとりますが、それが一層描き手の興
味をそそります。
芸術の出来栄えは「好奇心」に比例します。
珍しい体型の僕は、それに一躍買っている。そ
う思うとモデル冥利に尽きると思います。
中性的モデルの需要は昔からあった?
胸の膨らみ、ボディーライン、小さな股間。
僕の身体に雰囲気が似ている彫刻です。
小さな股間の男性シンボルも時代が違うと珍重
されるみたいです。
ローマ時代は、このようになぜだか女性っぽい
男性の作品が数多く制作されています。
それが、妙に艶めかしい感じ。
ハッキリ言ってエッチな雰囲気です。
身体つき、ポーズ、胸とか完全に女性を意識し
て制作されています。
それとも僕の様なプロポーションのモデルを探
して制作したのでしょうか。
実際にモデルを使ったにせよ、なぜ男性を艶め
かしく表現したのでしょうか。
ちゃんと凛々しい男性の彫刻もあるのに、中性
的な彫刻が作られた理由はなんでしょう。
それは、中性的なものに憧れとか需要があった
のかもしれませんね。
ヘルマプロディートスの様な両性具有の神様が
いるくらいなので「中性的」は、ひとつのジャ
ンルとして確立していたのかもしれません。
女性の魅力を兼ね備えた中性的身体
女性の裸体は、美しく、そしてエロい。
それもひとつの魅力です。
これは、どんなに「芸術だ」と言ってもひとつ
の現実です。裸体を描けばエッチに見えるのは
避けようがありません。
そういう構造なんですから。
男性ヌードの場合はどうでしょうか。
これはこれでエロなんでしょうけど、女性のヌ
ードとは次元が違います。
これは、男性の場合、股間意外は日常から裸が
平気だからではないでしょうか。股間の表現が
あって初めて完全に「裸」になるので、ローマ
の彫刻などの精密な表現があって初めてエロが
見えるということでないでしょうか。
その点、中性的な身体は、全体に女性的な美し
いフォルムを持ち僅かに女性的な特徴を兼ね備
えているので、股間の表現をしなくてもなんと
なくエロい感じになります。
それも、豊満な大人の女性の色香ではなく儚い
可憐な少女的な美しさです。
古代には美少年愛が盛んだった頃もあるので、
中性的な身体には、両方を満たす不思議な魅力
があったかもしれませね。
珍しさは、ひとつの価値
貧乳の女性?そう思わせる作品です。表情を敢
えてキリッとさせることでボーイッシュな雰囲
気(男で~す)も醸し出しています。
中性的な容姿というのは、けっして多くありま
せん。顔だけならまだしも、身体まで中性的と
いうのは特にそのようです。
色白で線が細く、ボディーラインが女性的。そ
の上胸が出ている。
そんな容姿に密かに悩んだ時期もありました。
モデルをするにあたって、その点は大いなる悩
みだったのですが、やってみると意外や意外、
けっこう好評だったのです。
始め物珍しさを含んだ視線を浴び、一瞬怯んだ
のですが、その後真剣な眼差しが全身に降り注
ぎ、緊張と同時に満足感のような不思議な感覚
を覚えました。
せっかく勇気を出して人前で全裸になる訳です
から、どうせならしっかし見てほしい。
恥ずかしさと裏腹の微妙な想い。
描き手は、多くのモデルを描いています。
裸は同じに見えて十人十色。しかしその中でも
良いプロポーションというのがあるのも事実で
す。描き手が「ん、このヌードいいな」と思え
るモデルは注目を浴びます。
注目を浴びるというのは、自分の商品価値が高
いという目安になります。
珍しい中性的なヌードを見て興味津々な描き手
を見ていると、ああ脱いで良かったなと思った
りします。
まとめ
美術モデルを始めて約2年。回数にして360
回、描かれた人数はリピーターを含めて7千人
以上になります。
思えばすごい人数の目の前で自分の裸体を見せ
てきたことになります。
僕は、顔も身体も女性的珍しい中性的モデル。
そのせいかガウンを脱いだ瞬間これでもかと視
線を浴びてきました。
果たして自分の容姿は、評価されているのだろ
うか。そんな思いを抱きながら脱ぎ続けてきま
した。
「女性みたい」「綺麗な身体」「かわいい」そ
して「エロい」などの批評を受けました。
そしてやはり「珍しい」という部分に強い興味
を持たれたみたいです。
中性的な身体は、固定概念で適当に描けないの
で描写力を試されるという意見もありました。
一度僕を描いた人の中でリピーターが多く、紹
介したような力作をじっくり時間をかけて制作
するなど、僕のヌードに対する評価も捨てたも
のではないようです。
始めは男のモデルとして価値があるのかと疑問
を思っていたけど、中性的という別なジャンル
だと思えばいいと気が付きました。
当初コンプレックスだった中性的な身体もそれ
なりに価値があることを知り自信を持って脱げ
るようになりました。
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